精密光学コンポーネント

非接触測長計(PDシリーズ)

製品概要

非接触測長計とは、対象物の面内方向の移動量・距離、速度を高精度に測定できる計測機器です。 生産ラインで搬送される部品や材料の送りをリアルタイムで監視し、生産ラインのIoT化を促進。効率的かつ均一な搬送及び安定供給を実現し、現場での生産性向上とコスト削減に大きく貢献します。非接触での測定が可能なため、接触式で発生していた対象物への傷や、摩擦・滑りによる測定誤差等の課題を解決できます。 また、A/B相のパルス出力に対応し、非接触のエンコーダとしてご使用いただけます。

おもな特長

- 非接触で対象物の移動量と速度を正確に測定
- キヤノン独自のプロファイルマッチング方式により、高加速度追従が可能 (100G)
- 静止状態(ゼロ速)からの測定が可能

測定原理:プロファイルマッチング方式とは?

連続で取得した対象物の画像データ間の相関関係を比較することで変位を算出し、移動量・速度に変換して出力する方式です。

製品構成

ソフトウェア(標準構成品)

非接触測長計ソフトウェア(Non-Contact Displacement Sensor Software)パソコン上で速度や長さ測定結果の表示、測定結果の履歴表示、データ保存、パラメータ変更などが可能です。

機器の校正

ご要望により有償にて校正証明書を発行しています。安心してご使用いただくために、1年毎の定期校正を推奨します。

これまでの課題

金型を介して素材を成形するプレス装置を導入している生産現場では、金属材のコイルなどの部品が装置内のベルト上で搬送される際に生じる移動量や速度の誤差により、プレス時の部品不良や金型破損が発生していた。また、高加減速が発生するため、送り精度の非接触でのモニタリングが困難であった。

非接触測長計を導入すると…

非接触測長計は測定対象物の加速度100Gまで追従が可能。非接触で送り量のモニタリングを実現し、不良品の発生や金型破損を未然に防げるようになった。これにより、金型修正コストやダウンタイムの削減、生産性の向上につながった。

これまでの課題

鋼板をローラで搬送し切断していたが、鋼板の送りにスベリが生じることで切断後の長さが安定せず、不良品の発生に繋がっていた。

非接触測長計を導入すると…

非接触測長計で鋼板を直接測長することにより、スベリの影響を受けない正確な測長が可能になった。これにより不良品の発生を未然に防ぐことができた。

これまでの課題

押出しされた製品をコンベアで搬送する工程、で押出し速度とコンベアの速度が非同期のため、押出し製品に形状ムラが発生していた。押出し時の材料は柔らかく、接触式回転ローラー(タッチロール、タコメータ、メジャーロール)で速度管理ができないため改善に苦慮していた。

非接触測長計を導入すると…

非接触測長計は非接触で材料の速度測定が可能。押出しされた材料・製品にキズを付けることなく速度管理ができるため、押出し速度とベルトコンベアの速度同期が可能になり品質改善に繋がった。

これまでの課題

太陽光パネルやディスプレイ等に使用されるフィルムのロール to ロールの搬送ラインにおいて、ロールの滑りが影響し、送り誤差が発生してしまう。これが原因で後の切断/マーキング/成膜/塗布工程等で加工ムラが生じ、品質や歩留まりの悪さが問題となっていた。

非接触測長計を導入すると…

非接触測長計で直接対象物の送りを計測することで、滑りによる搬送誤差の発生を未然に防止可能になった。これにより加工品質の向上・材料コストの削減・歩留まり改善に繋がった。

ワーニングについて

測定値に異常が発生した場合、または温度が動作温度の上限/下限に近付いている場合にワーニングが発生します。ワーニング発生時でも測定は継続しますが、測定値異常の場合には適切に測定できていない可能性があります。
ワーニングが発生する事象から復帰した際には、一定時間経過後にステータスバー(アプリ上部)の表示が自動的に通常時に戻ります。

主なワーニング

アプリを使用して測定した場合、測定終了後にワーニング内容を確認することができます。※1
下記ワーニングが発生した場合は、測定モード変更により回避可能な場合がございます。※2

※1 ワーニング内容は測定終了後に纏めて表示されます。
  また測定開始から終了の間に一度でもワーニングが発生した場合、必ず表示されます。
※2 各測定モードについては 「モード機能について」 を参照下さい。
  • 測定物の速度が仕様を超えている可能性があります。
  • 測定方向に対して垂直方向の振動が許容値を超えている可能性があります。
  • 測定物が正しく設置されていません。
  • 測定物のコントラストが小さいです。
  • 測定物の反射率が高いです。
  • 測定物の反射率が低いです。

モード機能について

測定対象物や環境に応じて、モードを変更いただくことで、正確な測定が可能になる場合がございます。 モード0で測定した際に下記のワーニングが表示された場合、表示内容に応じてモード変更を試してください。 モードの設定は付属アプリの「パラメータ設定」画面から変更可能です。

モード設定 モード状況 内容
モード1
対象物が進行方向に対して
重直振動 or 斜めの動き (スパイラル搬送等)
0 x 00000200 : MEASUREMENT WARNING

測定方向に対して垂直方向の振動がある場合、斜め方向(らせん等)の運動を測定する場合にモード1を設定してご使用ください。
※このモード設定を適用すると低速(100mm/s以下)で精度が悪化することがあります。
モード2
対象物の反射率が高い
(光沢のある鋼板等)
0 x 04000000 : LIGHT WARNING(HIGH)

測定物の反射率が高い場合、モード 2 を設定してご使用ください。
※このモード設定を適用すると反射率の低い測定物で測定不能になる場合があります。
モード3
対象物の反射率が低い
(黒ゴムや黒チューブなど)
0 x 02000000 : NO TARGET WARNING
0 x 08000000 : LIGHT WARNING(LOW)

測定物の反射率が低い場合、モード 3 を設定してご使用ください。
※モード3設定の適用すると、高速(2000mm/s以上)で精度が悪化する場合があります。
モード4
反射率の高い対象物が進行方向に対して
重直振動 or 斜めの動き
0 x 00000200 : MEASUREMENT WARNING
0 x 04000000 : LIGHT WARNING(HIGH)

モード1とモード2の組み合わせ
振動が大きい、かつ、測定物の反射率が高い場合、モード4を設定してご使用ください。
モード5
反射率の低い対象物が進行方向に対して
重直振動 or 斜めの動き
0 x 00000200 : MEASUREMENT WARNING
0 x 02000000 : NO TARGET WARNING
or
0 x 00000200 : MEASUREMENT WARNING
0 x 08000000 : LIGHT WARNING(LOW)

モード1とモード3の組み合わせ
振動が大きい、かつ、測定物の反射率が低い場合、モード5を設定してご使用ください。

*デフォルト(初期設定値)はモード0